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天女の舞 
作: ゆうやん様

〜ビッテンとビアンカ編〜

歓声を上げて施設をいろいろと見て回ったビアンカだったが、ビッテンフェルトはどこか心ここにあらず、という雰囲気で落ち着きなくパンフを確認していた。
「どしたの?フリッツ。ね。明るいうちにちょっと泳がない?新しい水着買ったんだ。」
濃褐色の髪をきっちりと纏め上げたビアンカが笑いかけるが、ビッテンフェルトは少し口元を緩ませるとこう答えた。
「こっちにおもしろい部屋があるんだそうだ。まずは試してみないか?」
そういうと不審そうな表情を浮かべた彼女の手をとると歩き始めた。

「この部屋。なに?」
バスルームの脱衣場にある無機質な黒い扉の前でビアンカが問いかけた。
「まぁまぁ。新しいバスルームなんだそうだ。だから服脱げ。」
そう言いながらビッテンフェルトは勢いよく服を脱いでしまうと、ビアンカをせかすように告げた。
「・・・・フリッツ・・・好きねぇ。」
そう言いつつもビアンカはするすると服を脱ぐが、さらけ出した素肌の上から柔らかい薄茜色のシルクのローブを纏い、さらにきっちりと桃色の帯で前を締めてしまった。
「なんで全部脱がないんだ?」
「なんでここで素っ裸にならないといけないわけ?バスタブあっちにないじゃない。」
確かに扉の向こうには無機質な白いフリークライミングのような突起の壁の部屋があるだけである。
そう言って何やら意味深に笑うとそのままスタスタと裾を翻して扉を潜り抜け、ビッテンフェルトも慌てて後に続いた。

『ジュウリョクヲ シテイシテクダサイ』
 天上から、女性的な機械音声が聴こえる。
「0.15G」
ビッテンフェルトの声と同時に室内の重力が制御され、小さな悲鳴とともに柔らかい体がすがりつく・・・・はずだった。
「うわぁ。すごい。ここが重力制御室だったのね。」
歓声と同時にビッテンフェルトの目の前をふわり、と茜色の風が通り過ぎる。
ビアンカは体を器用に使って浮き上がり、やがて床が開くのを見ると壁を蹴って勢いをつけながら、ふわふわと下へ降りていく。
「お。おい。大丈夫か!?」
予想を完全にはずされたビッテンフェルトのほうが、バランスを崩して体勢を立て直す間に、下まで行ってきたビアンカが戻ってきた。身に纏ったローブが捲くれるのも構わずに泳ぐようにふわふわと漂うビアンカからは低重力に対する恐怖心はみじんも感じられない。
「なつかし〜。コドモのときよくこうやって遊んだの。長い航海でいろいろと退屈するとね。みんなで鬼ごっこしたり、楽しかったなぁ。」
その発言にビッテンフェルトは内心歯噛みをしたい思いにかられた。
(・・・ぬかった。コイツの子供時代の成長環境を忘れてたとは。俺としたことが・・・不覚。)
ビアンカは生後半年からその人生のほぼ半分以上の時間を宇宙を航海する独立商船の中で過ごしたといっても過言ではない。宇宙空間は地上よりもなじみが深く低重力など子供の娯楽レベルなのだ。どうやら低重力での身体制御は自転車と同じで一度マスターすると体に沁みこむものらしい。
 
 
気を取り直して降下すると、ふわりと宙返りしたビアンカは捕らえようとするビッテンフェルトの腕からからするすると逃げる。
上昇してしまったビアンカを追うように、ビッテンフェルトも慌てて壁を蹴る。
頭を下にするという、普通ではありえない格好でくすくすと楽しげに笑うビアンカが漂いながら待っていたが、ふわふわと降りてくる。
くるりと体を回転させて、水平に浮かんだまま、ビッテンフェルトの唇に軽いキスを繰り返す。
抱きしめようと腕を伸ばすと、急に胸を手でつき返されて丸い部屋の両端へと漂いながら逃げていく。
「ビアンカ。」声を出して名を呼ぶが、聞こえるのは楽しそうな笑い声で、彼女は手を振りながらゆっくりと沈んでいく。
(くそぉ。ロイエンタールのヤツめ。何が女が自分から縋ってくる!だ。ここまで来てなんだって追いかけっこせないかんのだ。プールでいちゃついてたほうがマシじゃねぇか!)
と、内心毒づいてみたものの、嬉しげな笑い声と自由に舞うその様の美しさにその感情を和ませる。

海を自由に泳ぐ魚のように、空を舞う鳥のように自由に漂う姿をみていると急にビッテンフェルトに不安がよぎった。
(俺をおいてどこか遠くへ行ってしまう・・・。)

子供のころに聞かされた話がふと脳裏によみがえる。
『羽衣を取り戻した天女は空へと飛んで帰ってしまい、残された男は地上で嘆くばかりでした。』
体に纏った淡い茜色のローブの薄く軽い素材がそんな他愛ない御伽噺を思い出させたせいだ。
3人も姉が続いた後だったせいか、母の読む物語はお姫様ものが多かった。
そういえば、王子が魔物を倒すというものよりも、賢い平民が知恵でやりこめる系も多かったな、とふと思う。
母親はいずれ戦いに赴く運命の息子へ、幼い時から戦いなどは耳に入れたくなかったのだろうか?
(昔はオフクロも優しかったよな。ま、後で鬼ババになったけど。)

(さて、こっそりエッチなこと考えてるお灸は据えた・・・と。そろそろ捕まってやろうかな・・)
そう考えているとビッテンフェルトがついに逃げて遊んでいたビアンカの脚を捕まえた。そのままつま先にキスの雨を降らせていく。
薄い茜色のローブは太もものあたりまで捲れてふわふわと漂い、肌の白さを引き立たせて蒼に染まった視界の中で光を放つようにすら見える。
されるがままにじっと見つめていたビアンカも指先から足の指一本一本を丹念にじっくりと唇と舌で愛撫していかれるとわずかに身をよじった。
時折薄茶色の瞳でビアンカの様子を見る。頬が染まり唇が半開きになる。漂っているうちにビアンカの背中が円柱ドームのガラス壁に突き当たった。
ビッテンフェルトはビアンカの体を抱き寄せると、唇をゆっくりと重ね、ローブの合わせ目から手を滑り込ませながら愛撫を続ける。
体にまといつく帯を解くと空中でくるり、と独楽のように回り小さな悲鳴をあげてビッテンフェルトに抱きついてきた。

(羽衣を捨てた天女か・・・空へ帰ることはもうなかろうな。コイツは俺の、俺だけのものだ。)
そう思うとビッテンフェルトはさらに逃げられないように、楔を打ち込むように自身を埋め込んだ。
ビアンカが猫のように喉を小さく鳴らすと、ビッテンフェルトの逞しい体に白く細い四肢を絡めてくる。
もうどちらとも自分からは離れられない、と思いながらお互いがお互いに溺れていった。

主を失った茜色のローブが鳥のようにゆっくりと空へと舞い上がるのと対照的に、絡み合った二人の体が碧く深い海へとゆっくりと沈んでいった。

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ビッテンフェルト氏のご感想
低重力もなかなかよかったが、相手にもよる。俺はふつうのベッドで逃げないようにがっちり捕まえとるほうが好みにあっとるかな。
ま、二度目以降は逃げられないように最初から「がっちり」捕まえてたがな(余裕の笑み)評判どおり、なかなか使い応えはある。しかし、男の実力がいるだろうな。
あとジャグジーはもう少し小さいほうが密着できてよいと思うぞ。逃げた弾みで滑って沈没した。(以下略)
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